大阪高等裁判所 昭和27年(ネ)442号 判決
控訴代理人は原判決を取消す。被控訴人東税務署長が昭和二十四年七月三十一日附をもつてした控訴人に対する昭和二十三年度分(昭和二十二年十二月一日より昭和二十三年十一月三十日まで)法人税中法人税法第四十三条による追徴税百三十七万円及び同三百三十三万七千五百円の更正決定を取消す。被控訴人国は控訴人に対し、右取消に基き金三百三十万三千四百五十円及び之に対する昭和二十四年九月一日から昭和二十五年三月三十一日までは金百円につき一日金十銭の割合昭和二十五年四月一日から右還付済まで金百円につき一日金四銭の割合による金員を支払うこと、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人等の負担とする旨の判決を求め、被控訴人等代理人は主文と同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は、控訴人代理人において二、昭和二十五年法律第七二号による改正後の法人税法第四八条第三項によれば脱税犯に対する刑事判決のあつた場合には「政府は直ちにその免れた法人税額又は還付を受けた金額に相当する税額の法人税を徴収する」義務を負う。この規定が覊束処分を定めたものであり、刑事判決を基として免れた法人税額(を計算し)に相当する税額の法人税を徴収する法意であることは一点疑がない。
免れた法人税とは犯則がなかつたならば本来納付すべき普通法人税即ち刑事判決の認めた税額から既納税額を差引いた残額の意味であつて、隠ぺい又は仮装によつて加算せらるべき重加算税を意味しないことは明かである。
かように右改正後の法人税即ち新法においては明瞭に覊束処分であるものが右改正前の法人税即ち旧法において然らずと云う道理はない。
旧法第四八条第三項に所謂その税金とは本来の法人税の意味で、新法第四八条第三項に所謂免れた法人税の意味である。又旧法第四八条第三項に「課税標準を更正し又は決定し」とあつたのを削除し新法同条項では単に「その免れた法人税額に相当する税額の法人税を徴収する」と改正したのは本来「更正又は決定し」という語は考察判断等を意味する嫌があり、刑事判決確定の税額をそのまゝ機械的に採用すべき犯則の場合には不必要且不適当の措辞だから之を削除したものと解される。本条の改正は字句の整理で、判決と行政処分との関係の本質に関する変更ではないことは改正の経過に徴し明かである。(尚旧法当時の所得税法第六九条第四項も新法第四八条第三項と同様「直ちにその免れた税金を徴収する」と規定している)若し、新法第四八条第三項の解釈としてもその脱税額は刑事判決と無関係に政府が勝手に決定するものと解すれば脱税のあつた場合之を徴収することは政府の責務であること他の条文から当然判ることで同条第三項の規定を要しない筈である。然るに新法第四八条第三項を特に設けたのは刑事有罪判決を有権的なものとして脱税額を機械的に算出し、徴収すべきことを命じたものに外ならぬ。三権分立の建前から政府が課税標準及税額につき刑事判決の覊束を受けぬとする主張は誤つている。三権分立の制度は原則的制度であつてその間多少の例外的交錯あるも三権分立の建前に反するとは云えない。即ち法律の根拠さえあれば直接裁判所が行政処分の給付を命ずることもあり得る。況んや本件の場合は法人税法第四八条という法律の規定が行政庁の為すべき行為を命じているのであつて、裁判が行政処分の給付を命じているのでないから、いかなる意味においても三権分立の建前に反しない。
三、被控訴人は法第四八条第三項の立法は「直ちに」と云う点だけに意義があり、換言すれば同項は法第三三条の例外規定に過ぎぬと主張するけれども之は誤りである。法第四八条第三項は、「第一項の場合においては政府は直ちにその課税標準を更正又は決定しその税金を徴収する」と規定するから、法律は直ちに課税標準の更正又は決定をなすべきことを命じているが、「直ちに」が「その税金を徴収する」にまでかかるかどうかは法文用例上疑がある。この法文は刑事判決があつたならばそれに従つて直ちに更正又は決定をすることを命じたものと解すべきである。
四、もし法第四八条第三項の立法趣旨が単に法第三三条の適用を除外するにあるならば「この場合第三三条の規定を適用せず」と規定するのが法文用例上当然の措置であつて、「直ちに」などゝいう不明瞭な時間観念を表現する筈がない。
然るに「直ちに云々」と規定したのは法第三三条の適用を除外する意味でなく、政府は刑事有罪判決があれば改めて独自の調査をせず機械的に判決通りの更正又は決定をする趣旨であることが明かである。
五、法第四八条第三項が法第三三条中一部適用の除外を目的とするものならば、本来法第三三条は法第二九条乃至第三一条の課税標準の更正又は決定に伴う規定であるから、刑事有罪の確定判決に基づく法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定については法第三三条の適用なきは当然である。従つて之が適用を除外するため「直ちに云々」と規定する必要はない。
九、被控訴人が法第四八条第三項と同趣旨の立法だとして挙ぐる旧所得税法第六九条第四項にも「第一項又は第二項の場合においては政府は直ちにその免れた税金又は徴収しなかつた税金又は納付しなかつた税金を徴収する」と規定するのみで、脱税犯の場合免れた税金以外、追徴税を課し得る旨の規定がないから、追徴税を課し得ない趣旨が明かであり、法第四八条第三項の趣旨も従つて明かである。
十一、犯則事件の場合においても課税標準並びに税額が民事裁判によつてのみ終局的に確定するものとせば犯則事件の刑事裁判はまづ民事確定判決を経た上でなければ判決を下し得ぬことゝなる。然るに税法の解釈上左様に解されず、民事判決を待たず直ちに刑事判決が言渡されているのは刑事判決によつて課税標準並びに税額が確定されることを前提とするからに外ならぬ。
このことは他面、行政裁判は必ずしも民事裁判所によらねばならぬとの鉄則がないことを意味する。行政裁判を民事裁判所によつてなさしめるか、刑事裁判所によつてなさしめるかは便宜の問題であつて脱税事件については課税標準並に税額決定という行政裁判を行政刑罰権行使の必要上刑事裁判所によつて行わしめる法意を看取するに難くない。民事裁判は行政庁を覊束するが刑事裁判は行政庁を覊束せずとの法則もない。又逋脱犯が起訴せられた場合課税標準及税額の最終決定機関が刑事裁判所であり民刑両判決の競合を招来してならぬことは国家意思の唯一不可分の見地からも明かである。
逋脱犯につき刑事の有罪判決確定後法第二九条乃至第三一条第三六条第四三条の適用ありとすれば結局課税標準及税額の確定は民事判決によることゝなり国家統一意思の原則に反する。法第四八条第三項に法第四三条を準用するとの規定なく、法第四三条に法第四八条第三項の場合を掲記しないのはこの点を顧慮して立法せられたものである。
第二 一、法第四三条の追徴税の徴収原因は「已むを得ない事由があると認められる場合を除く外」と規定され昭和二五年法律第七二号による改正後の法人税法第四三条の二の重加算税のように「事実を隠ぺいし又は仮装し」と不正行為を原因としていない点から見ると旧法時代に不正行為を用いた場合には犯則事件として旧法第四八条第一項によつてのみ制裁を受くべきものと解される。
新法が均しく不正行為を原因としながら新法第四三条の二の重加算税の場合には「事実を隠ぺいし又は仮装し云々」と云い、敢て不正行為と云はず、犯則の場合(詐偽その他不正の行為によりて起訴された場合を指す)にのみ「詐偽その他不正の行為」(同法第四八条第一項)と云つているのは意味深長である。即ち新法では犯則の場合には第四八条第一項の罰金又は体刑若しくはその併科を犯則以外の「事実を隠ぺいし又は仮装した」不正行為の場合には第四三条の二の重加算税を、又その他正当事由がないと認める場合には第四三条の普通の加算税を課すべきことを規定し、之等三場合にそれぞれ情状により適合した制裁の軽重を規定したものであつて、いかなる場合においても体刑又は罰金と、重加算税とを併科することはしない趣旨である。即ち、重加算税は不正行為があるのに起訴されない場合に之を賦課すべく、起訴されて有罪判決がなされたときは重加算税を課しない趣旨である。新法第四三条の二に隠ぺい又は仮装行為等詐欺行為ある場合であるのに詐欺という犯罪名目を用いないのは、この場合刑事判決がないからである。
即ち新法第四三条の二の重加算税と、新法第四八条第一項の刑罰とは制裁に軽重の差あるも実質は同一である。要するに新法第四三条の二の新設は罰金と重加算税との併科を目的として規定されたものではなく、寧ろその反対にその併科を避けるために規定されたものである。従つて新法第四三条の二の新設を以て法第四三条の追徴税と法第四八条第一項の刑罰との併科を認める資料とすべきでなく、却つて之を以て旧法の趣旨がその併科を許さぬことを認むべき根拠とすべきである。
二、原判決控訴人主張事実摘示中「そうだとすれば刑罰規定に類推解釈は許されず」とあるを「一般に制裁規定(国民に制裁として害悪を与える規定)の適用は類推解釈を許されない。
従つて過料の制裁(仮に追徴税が過料に該るとしても)も明文のない以上適用されない」と訂正すると述べ、
被控訴人両名代理人において
(イ) 犯則事件における有罪判決確定の場合に法第二九条乃至第三一条第三六条及び第四三条の規定の適用なしと解すれば、行政庁は刑事裁判に覊束され、課税標準を更正又は決定せねばならぬことゝなる。このことは刑事裁判が行政庁に行政処分を命ずる結果となり、三権分立の建前に反する。又民事裁判が行政事件において行政処分の取消はできても行政処分の給付を命ずることができない旨の多数裁判例にも反する。
(ロ) 法第四八条第三項の「直ちに」は「その税金を徴収する」までにかゝることは法文の用例上明かである。
もし「課税標準を更正又は決定し」までにしかかゝらぬものとすれば、法文も「政府はその課税標準を直ちに更正又は決定し」とすべきではなかろうか。
又「直ちに」を「更正又は決定し」までにしかかゝらぬものとすれば、法第四八条の場合には納期限の定めもなく法第三三条の場合と比較して不当である。
(ハ) 犯罪事実の有無を限定して刑罰権の実現を目的とする刑事裁判と、行政処分の適否を判断し行政法規の正当な適用の確保を目的とする民事裁判との相異なる目的を有する二つの制度を相異なる手続により実現せんとする現行法の体系の下においては、刑事裁判と民事裁判とによつて相異なる課税標準が認定されることがあるとしても誠に已むを得ないことである。唯この場合の最終の国家意思は刑事裁判にあつては刑罰の宣告であり、民事裁判にあつては行政処分の取消又は変更の宣告に外ならぬと解すべきである。
(ニ) 昭和二五年法律第七二号による改正後の法人税法第四三条及び第四三条の二の規定するところは行政上の秩序罰であつて、同法第四八条の規定する詐偽その他不正の手段によつて国の徴税権を侵害する反社会的行為に対する行政刑罰とはその目的を異にし、その性質も異なるから、之を併科しても何等差支えない。而して同法第四三条の二は事実を隠ぺい又は仮装する等の不正行為があつた場合を、然らざる場合より特に重く重加算税を課し、行政秩序の維持を計つたものであるが、かような不正行為があつた場合は収税官吏は通常告発すべきである。
即ち、かような不正行為は同法第四八条所定の行政刑罰の対象ともなるべき行為である。それゆえ、同法第四三条の二の新設により同条の秩序罰と同法第四八条の刑罰との併科が明かにされたものであり、従つて之を以て旧法第四三条の追徴税と旧法第四八条の刑罰との併科を認める資料となすことができる。
と述べた外原判決事実摘示のとおりであるから茲に之を引用する(各立証省略)。
三、理 由
控訴会社は毎年十一月末日を決算期とする株式会社であるが、昭和二十四年三月十日被控訴人東税務署長に対し同会社の昭和二十二年十二月一日から昭和二十三年十一月末日までの法定事業年度即ち昭和二十三年度分の法人所得額五百五十六万千六十五円その税額二百十一万五千九百十円と申告し同日右税額を納付したこと、其の後被控訴人東税務署長は大阪国税局の査定に基き昭和二十四年七月三十一日附通知書で控訴会社に対し昭和二十二年法律第二八号法人税法(昭和二十五年三月三十一日法律第七二号による改正前以下法と略称する)第二十九条によつて控訴会社の昭和二十三年度課税標準を更正決定したことは当事者間争なく成立に争ない乙第一号証の一によれば被控訴人東税務署長により控訴会社の昭和二十三年度中間事業年度分普通所得千五十八万九千十一円超過所得九百六十万七千三百四十七円超過所得計算の基礎たる資本金額六百五十四万五千七百六十一円法第四十二条による加算税額二百十七万八十円法第四十三条による追徴税額百三十七万円と決定されたこと、成立に争ない乙第一号証の二によれば控訴会社の昭和二十三年度事業年度分普通所得三千九百三十三万四千二十円超過所得三千七百三十七万二百九十二円超過所得計算の基礎たる資本金額六百五十四万五千七百六十一円法第四十二条による加算税額二百八十三万二百円法第四十三条による追徴税三百三十三万七千五百円と更正されたこと明白である、そして被控訴人東税務署長より昭和二十四年七月三十一日附控訴会社に対し右決定及び更正の通知書を発し同年八月十六日送達せられたので控訴会社は同月三十一日東税務署に昭和二十三年度分の法人税加算税の外に追徴税四百七十万七千五百円を納付したこと当事者間に争ない。
又大阪国税局は昭和二十四年七月控訴会社の昭和二十三年度分法人所得額二千九百十二万千八百六十四円その税額千五百三十二万九千七百十円と査定し法人税千三百二十一万三千八百円を逋脱したとの理由で控訴会社及び同会社申告事務責任者たる同会社総務部長大川信雄を法人税法違反として大阪地方検察庁に告発し同庁は同月二十五日右告発事実のとおり両名を大阪地方裁判所に起訴し同裁判所は同年八月二十七日起訴事実全部を認めて有罪と断じ控訴会社を罰金三千万円に大川信雄を懲役八月但三年間刑の執行を猶予する旨の判決を言渡し同判決は同年九月十日確定したことも亦当事者間争ないところである。
以上の事実によれば被控訴人東税務署長が決定更正した課税標準中には逋脱犯の成立した分と逋脱犯は成立しなかつたが適正な申告をしなかつた分とを含んでいること、法第四十三条による追徴税金合計四百七十万七千五百円中三百三十万三千四百五十円(刑事判決確定脱税額千三百二十一万三千八百円に百分の二十五を乗じた額)は刑事判決確定の脱税額に対応する追徴税額で其予は逋脱犯は成立しなかつたが適正な申告をしなかつた分に対応する追徴税額なることが窺われる。
案ずるに法第二九条乃至第三一条は納税義務ある法人が申告又は修正した課税標準が政府において調査したところと異なる場合、又は無申告につき政府が調査した場合においては政府は課税標準を更正又は決定すべきことを規定し、右の場合において、法第三二条は之を右法人に通知する旨、法第三三条は通知後一ケ月後を納期限としてその不足税額又は決定による税額を徴収する旨、法第四三条は右不足税額等を徴収すべき場合に、申告期限内に申告書の提出がなかつたこと、前の申告若くは修正にかゝる課税標準について誤認があつたこと又は右法人の申告若くは修正した課税標準が政府の調査した課税標準と異なることについて已むを得ない事由があると認められないときは、政府は所定の金額に相当する税額の法人税を追徴する旨、法第四四条は右追徴税を決定したとき之を右法人に通知する旨、並に法第三六条以下は法第三二条により通知した課税標準及び法第四四条により通知した追徴税額に対し不服申立をなし得る旨をそれぞれ規定している。而して法第四八条第一項は詐偽その他不正行為により法人税を免れた場合においてはその違反行為をした法人代表者代理人使用人その他の従業者を所定の懲役罰金又は科料に処するとし(尚法第五一条により法人に対し各本条の罰金を科する)同条第三項には第一項の場合においては政府は直ちにその課税標準を更正又は決定しその税金を徴収すると規定する。
そこで法第四八条第三項に所謂課税標準の更正又は決定は第一項の場合即ち「詐偽その他不正の行為により法人税を免れた場合」になされるけれども、この場合が、法第二九条乃至第三一条に所謂「申告又は修正にかかる課税標準が政府において調査したところと異なる場合」又は「無申告につき政府の調査した場合」の一に該当することは明かである。それ故法第四八条第三項によりなされる課税標準の更正又は決定は法第二九条乃至第三一条による課税標準の更正又は決定に外ならぬものと解すべきである。もし両者の性質が相異なり、前者の更正又は決定が特殊の原因に基ずく、特殊の効力あるものとするならば後者の更正又は決定についても之が告知のため法第三二条のような通知規定を設くべきであつて之を現在のまゝに放置すれば無期限となり極めて不均衡となること明かであるのに、かような規定のないところから見ても法第四八条第三項の更正又は決定に何等特殊の原因及び効力が定められたものでないことが判る。又法第四八条第一項によれば詐偽その他不正の行為により法人税を免れた場合にはその違反行為をした法人代表者等に対し(尚法第五一条により法人自身に対しても)有罪判決のなされる場合のあることは勿論であるが(イ)同条第三項中「第一項の場合」とあるは刑事裁判により之等の者が刑罰を課せられた場合若くはその判決確定した場合を指すものではなく単に詐偽その他不正行為により法人税を免れた事実ありと徴税庁の認める場合を指すものと解すべく、(ロ)同条第三項の趣旨は之等の者がかような悪質の違反行為をした場合にはその納税義務ある法人に対しては法第三三条により通常与えられる納期限の利益を特に剥奪し免れた税金を直ちに徴収することとし以てこの場合の更正又は決定に対しその範囲において特別の効果を規定しただけであつて、何等この刑事有罪判決の確定を特殊の原因乃至前提として独立の課税標準の更正又は決定を規定したものではない。これら(イ)(ロ)の趣旨は法第四八条第三項施行当時の所得税法第六九条第四項並びに昭和二五年法律第七二号による改正後の法人税法第四八条第三項中右法第四八条第三項に所謂「課税標準を更正又は決定し」の文詞のないことからも推知される)。
右のとおり、法第四八条第三項によりなされる課税標準の更正又は決定が、法第二九条乃至第三一条によるそれに該当するものと解すべきである以上、後者に対して認められる法第三二条第三三条(但し期限の点を除く)第三六条以下第四三条第四四条の各規定が、前者についても亦適用せらるべきは当然である。従つて徴税庁は納税義務ある法人に法第四八条第一項所定の法人税逋脱の事実ありと認めたときは、この事実に関する告発乃至刑事有罪判決の確定の有無に拘らず、法第二九条乃至第三一条により課税標準の更正又は決定をなし、直ちに免れた法第三三条の不足法人税は勿論、法第四三条の追徴税を決定徴収するは適法であり、何等法第四八条第三項の規定に牴触するものではなく、従つて逋脱事実に基ずく追徴税の賦課処分は、それが告発の前後いずれになされたるやを問わず、その後逋脱犯に対する刑事有罪判決の確定あるも之を取消すべき理由は毫も存在しないものと解すべきである。第一、控訴人は逋脱犯に対する刑事有罪判決の確定後は、同一事実につき法第四三条の追徴税は之を課し得ずそれ故、追徴税賦課決定後同一事実につき逋脱犯として刑事有罪判決確定したときは当然右追徴税賦課処分は取消さるべきものと論ずるがまづ控訴人が逋脱犯に対して刑事有罪判決確定後は同一事実につき追徴税を課することができないとする理由は次のとおりであるから順次之を判断する。
一、控訴人は「法第四三条によれば法第二六条第二項の規定による法人税の納付があつた場合又は法第三三条の規定による追徴税額に相当する法人税を徴収されることゝなつた場合に限り、追徴税を課し得るが、逋脱犯に対する刑事有罪判決確定した場合は法第四八条第三項により徴税庁は右判決の命ずるところに従つて、課税標準を更正又は決定し、その税金を徴収する義務を課せられているに過ぎぬから、法第四三条による追徴税を課することはできない」と主張するが右法第四八条第三項の定める課税標準の更正又は決定の性質その他同項の趣旨は前段説明のとおりであつて殊に同項は「第一項の場合において」と云うもそれが何等逋脱犯に対する有罪判決又はその確定を意味せず、同項はかような事実を前提とする規定でない。従つて右判決確定の事実があつた場合でも、同項は何等徴税庁に対し右判決認定の課税標準に基づき機械的にその更正又は決定をした上不足法人税のみを徴収すべき義務を課したものと解することはできないから、之を理由として追徴税を免れる根拠とすることはできない。
二、控訴人は「昭和二五年法律第七二号による改正後の法人税法第四八条第三項には「第一項の場合においては政府は直ちにその免れた法人税額又は還付を受けた金額(云々)に相当する税額の法人税を徴収する」とあつて、之によれば脱税犯に対する刑事有罪確定判決のあつた場合には政府は直ちに犯則がなかつたならば本来納付等せらるべき普通法人税、即ち刑事判決認定の法人税額から既納税額を差引いた残額(隠ぺい又は仮装行為に基いて加算せらるべき重加算税を含まない)を機械的に徴収する義務を負担するに至つたことは明白である。右新法の趣旨から旧法第四八条第三項においても之と同様の場合の徴税庁に対する刑事有罪判決の拘束性並びに法第二九条乃至第四三条の規定の不適用を推論すべきものである」と主張するが、右新法第四八条第三項自体においてもその文理上未だ控訴人主張のような趣旨を認めることはできないのであるから、この点から旧法第四八条第三項について控訴人主張のような趣旨を推断することもできない。
三、控訴人は「法第四八条第三項は「直ちにその課税標準を更正又は決定し」とあるから、逋脱犯につき有罪の刑事確定判決があれば、それによつて「直ちに」徴税庁が課税標準を機械的に更正又は決定すべきことを命じたものであり、即ち特殊の課税標準の更正又は決定をなすべき場合を規定した趣旨であること明かである」と主張するが、右法第四八条第三項の規定の趣旨は既に前段冒頭に説明したとおりであつて、右「直ちに」は「税金を徴収する」にかゝるが、「課税標準を更正又は決定し」はその税金徴収を引出す前提として注意的に挿入した文詞に過ぎぬと解すべきであり(同法条と同時に施行されていた所得税法第六九条第四項並に昭和二十五年法律第七二号による改正後の法人税法第四八条第三項においてかような「課税標準を更正又は決定し」の文句は削除されている)控訴人主張のように右「直ちに」がこの「課税標準を更正又は決定し」のみにかゝり、従つて之によつて刑事有罪の確定判決が徴税庁に対し機械的に課税標準の更正又は決定をなさしむべき拘束力あることを規定しその結果この特殊の課税標準の更正又は決定と定めたものと解することはできず従つて亦之に対し法第四三条の適用なしとすることはできない。
四、控訴人はこの点につき「もし法第四八条第三項の立法趣旨が単に法第三三条の適用を除外するにあるならば、「この場合第三三条の規定を適用せず」と規定するのが法文用例上当然の措置である。然るに「直ちに云云」と規定したのは法第三三条の適用除外の意味でなく政府は刑事有罪判決あれば改めて独自の調査をせず機械的に判決通りの更正又は決定をする趣旨であることが明かだ」と主張するが、法第四八条第三項はその立法趣旨から見て必ずしも控訴人主張のような用語例に従うことを要するものでもなく同項の文詞によつて控訴人主張のような法意を窺い得るものと認め難い。
五、控訴人は「法第四八条第三項が法第三三条中一部適用除外を目的とするものならば、本来法第三三条は法第二九条乃至第三一条の課税標準の更正又は決定に伴う規定であるから、刑事有罪の確定判決に基づく法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定については法第三三条の適用なきは当然である。従つて之が適用を除外するため「直ちに云々」と規定する必要はない」と主張するが法第四八条第三項に所謂課税標準の更正又は決定は即ち法第二九条乃至第三一条に基づく課税標準の更正又は決定に外ならぬこと前説明のとおりであるから、之に対しては固より法第三三条の適用があり、従つて特に税金逋脱の悪質者に対する納期限の利益を剥奪せんとするこの場合において、法第三三条の適用を納期限に関し一部除外するため法第四八条第三項は「直ちに云々」の文詞を必要としたものであるから、控訴人の所論は採用できない。
六、控訴人は「法第三三条による不足法人税額の徴収の基礎である課税標準の更正又は決定は法第二九条乃至第三一条によるものであつて法第四八条第三項による不足税額徴収の基礎たる課税標準の更正又は決定とは全然その性質を異にする。何となれば、法第二九条乃至第三一条による課税標準の更正又は決定は課税標準の更正又は決定に関する普通手続であつて、徴税庁は何者にも拘束されないものでなした行政処分であり、之に対し法第三六条以下の規定による不服申立ができるが、之に反し、法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定は犯則の場合における課税標準の更正又は決定の特別手続であつて、徴税庁は逋脱犯に対する刑事有罪の確定判決に拘束されてなすものであり、之に対し不服申立ができないからである。(もし法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定に対し不服申立を許すならば之に対する民事裁判所の判決と刑事裁判所の判決とが納税義務の有無及び範囲につき異なる結果を生じ、国家統一意思の原則に反することとなる)かように課税標準の更正又は決定が両者の間にその性質を異にするから、法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定については第二九条乃至第三一条によるそれにつき設けられた法第三三条及び第四三条の規定の適用はない」と主張するが、法第四八条第三項に所謂課税標準の更正又は決定は法第二九条乃至第三一条所定の原因乃至前提要件に基づく課税標準の更正又は決定の一場合に該当しその性質を之と異にしないものであり、後者につき設けられた法第三三条第三六条第四三条がすべて前者の場合に適用あることは前説明のとおりである。又法第四八条第三項は逋脱犯に対する刑事有罪判決の確定を前提として規定されたものでないことは前述のとおりであるから、この刑事確定判決あることを以て法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定が法第二九条乃至第三一条のそれと性質を異にするものとし、又は法第四八条第三項の課税標準の更正又は決定に対する不服申立を許さぬ根拠とすることはできぬ。
又右のとおり逋脱犯に対する刑事有罪判決が確定した場合においても法第四八条第三項による課税標準の更正又は決定に対し不服申立ができるから、民事判決と刑事判決との間に納税義務の有無及び範囲につき異なる認定を生じ得ることは、前者が当事者処分権主義に基づき行政処分の適否の判定を目的とし、後者が職権主義に基づき刑罰権の有無範囲の判定を目的とする別個の国家制度である以上当然の結果であり、この点を理由として法第四八条第三項の場合に法第三六条の適用を否定し延て同条の課税標準の更正又は決定が特殊の性質を持つこと従つて法第四三条の適用なきことを論結しようとすることは理由のないことである。
七、控訴人はこの点につきもし法第四八条第三項の課税標準の更正又は決定が法第二九条乃至第三一条所定のそれとその本質を同一にするものであるとすれば、法第四八条第三項は「第一項の場合においては政府は直ちに第二九条以下の規定によりその課税標準の更正又は決定し云々」との趣旨に規定すべき筈であるのに、同項がかような趣旨を規定しないのは両者の性質が異なるからである」と主張するが右両者の更正又は決定がその本質を同一にするものである以上、法第四八条第三項に特に法第二九条以下によることを規定する必要はない。従つて右法第四八条第三項に控訴人主張の右字句のないことを以て右両者の更正又は決定の性質に相違のあることを肯定する資料とすることができない。
八、控訴人は「法第四八条第三項は法第四三条を準用する規定がなく、又法第四三条にも法第四八条第三項の場合を掲記していないから、逋脱犯に対する刑事有罪判決確定以後は法第四三条の適用がなく、従つて追徴税を課し得ない」と主張するが、法第四三条には法第四八条第三項により税金を徴収する場合を掲記せず、又法第四八条第三項には法第四三条を準用する旨の規定がないことは控訴人主張のとおりであるけれども、法第二九条乃至第三一条による課税標準の更正又は決定は法第四八条第三項によるそれと、その本質を同じくすることは既述のとおりであり、他方法第二九条乃至三一条による課税標準の更正又は決定があれば之に基づき法第三三条の不足法人税を徴収すべく、この場合において追徴税の賦課徴収に関する法第四三条の規定が適用されるのは当然である。それ故法第四八条第三項に所謂課税標準の更正又は決定がなされた場合、法第四三条が法第三三条(但納期限の点を除く)と共に適用されることは当然であり、更に控訴人主張のような特別な規定を必要とするものではない。それ故、之等の特別規定がないことを理由として法律がこの場合に追徴税の賦課徴収を除外した趣旨であると解することはできない。
九、控訴人は「被控訴人が法第四八条第三項と同趣旨の立法として挙ぐる旧所得税法第六九条第四項にも「第一項又は第二項の場合においては政府は直ちにその免れた税金又は徴収しなかつた税金又は納付しなかつた税金を徴収する」と規定するのみで追徴税を課し得る旨の規定がないから、追徴税を課し得ない趣旨が明かであり、法第四八条第三項の趣旨も従つて明かだ」と主張するが、法第四八条第三項の趣旨に関する上叙の説明は之と同様の表現を用いた所論所得税法第六九条第四項についても亦あてはまるわけであり、従つて右所得税法の規定中追徴税に関する規定のないことによつても、法第四八条第三項が追徴税の賦課徴収を除外した趣旨を窺うことができない。
十、控訴人は「法第四八条第三項の場合において逋脱犯につき刑事の有罪判決確定あるに拘らず、更に追徴税を課することは憲法第三九条の一事不再理の原則に反し許されない」と主張するが、法第四三条の規定によつて課する追徴税は国家の徴税行政の秩序を維持するため納税義務違背の法人に対し租税の形式で課せられる行政上の秩序罰即ち過料的制裁であつて詐偽その他不正の行為により法人税を免れ以て国家の徴税権を侵害する反社会的犯罪行為に対する法第四八条第三項所定の刑罰である罰金とはその性質を異にするものと解すべきである。それ故、法第四八条第一項の場合即ち詐偽その他不正の行為により法人税を免れた場合において一方で逋脱犯として刑罰に処し他方秩序罰なる追徴税を課しても、同一犯罪につき重ねて刑事上の責任を問うものでないから、何等一事不再理の原則に反するものではない。それのみならず、もし仮に所論を是なりとするも、本件のように追徴税を課した後刑事の有罪判決確定したときは後者がまさに一事不再理の原則に反し不法であり、さきになされた追徴税の賦課が違法として取消さるべき理由はない。それ故この点に関する控訴人の主張は自体失当のものと謂わねばならぬ。
十一、控訴人「もし犯則事件の場合でも法第四八条第一項による刑事有罪判決の外、法第二九条以下により法第四八条第三項の課税標準の更正又は決定がなされその結果終局的には課税標準並に税額が民事裁判所により確定せらるべきものとすれば、犯則事件の刑事訴訟においては逋脱犯構成要件たる課税標準並びに税額につきまづ民事裁判の確定を経た上でなければ判決できないこととなる筈であるのに拘らず、税法の解釈上刑事訴訟において現に民事裁判をまつことなく判決をしている。然らばこの点から見るも、第一に、民事裁判所のみが行政処分の適否を判定すべき唯一最終の裁判機関でないこと、第二に犯則事件の場合においては課税標準及び税額の決定と云う行政事件の裁判を刑事裁判所をして行わしめることを法律は前提とするものであつて、逋脱犯に関する確定せる刑事有罪判決が徴税庁に対し最終的裁判機関として拘束力を有し、従つて徴税庁の自由な課税標準の更正又は決定並に追徴税の賦課が除外されることが明白である。この場合にも民事裁判所を以て課税標準並に税額の最終的裁判機関とすることは国家統一意思の原則に反し許されないところである」と主張するが、既に課税標準並に税額に関する行政事件の民事確定判決ある場合においてすら、刑事裁判所が右民事判決の既判力を認めることは民事訴訟における当事者処分権主義を刑事訴訟に一部許容する結果を生じ、許されぬのであるから、刑事裁判所が逋脱犯の構成要件たる課税標準及び税額の認定につき先づ民事判決の判定を俟つを要せざるは当然である。しかし之あるがため、逋脱犯ある場合に刑事裁判所を以て課税標準及び税額の決定に関し最終的裁判機関なりと認め、その確定した有罪判決が所論のように徴税庁に対して拘束力を有するものと解することはできない。又所論の国家統一意思の理論によつても以上の解釈を妨げるに足らないこと前段六に説明したところによつて推知できると考えられる。
以上説明のとおり徴税庁は逋脱犯に対し刑事有罪判決確定するも法第四八条第三項第二九条乃至第三一条第三三条(但納期限の点を除く)第四三条を適用し課税標準の更正又は決定をした上、不足税額の外、追徴税の賦課徴収をするのは何等違法ではないから、その違法なることを前提とし、本件のようにまづ徴税庁が納税義務ある法人に逋脱事実ありと認めたため告発すると共に、前記各法条により追徴税を課した以後において、刑事有罪判決確定あるときは、右追徴税の賦課処分は当然違法として取消さるべきものとなるとする所論は採用することができない。
第二、尚(一)控訴人は「昭和二五年法律第七二号による改正後の法人税法は詐偽その他不正の行為あるため起訴された場合のみを犯則事件として同法第四八条第一項の懲役罰金又は科料を課することゝし、詐偽その他不正の行為あるも起訴なき場合は同法第四三条の二により事実隠ぺい又は仮装した不正行為として重加算税を課することとし、いかなる場合でも刑罰と重加算税との併科を許さゞるものと定めた。かような立法上の沿革によるも法第四八条第一項による懲役罰金又は科料と法第四三条の追徴税とは併科を許さぬ法意であることが明瞭である」と主張するが、右新法第四三条の二に所謂「事実を隠ぺい又は仮装する行為ある場合」が新法第四八条第一項の「詐偽その他不正の行為ある場合」に該当することのあり得ることは控訴人も認めるとおりであるから、新法人税法の趣旨は寧ろかような場合に同一の不正事実に対しても前者に対する加算税と後者による刑罰との併科を認容することにあると解すべきであつて、控訴人主張のように、新法第四八条第一項の罰金と新法第四三条の二の重加算税若くは新法第四三条の加算税との何れか一つだけを課し、両者の併科を避けることゝしたものと解すべき根拠は何等之を発見することができない。而して前記新法第四三条の二の重加算税賦課の原因乃至前提である「事実を隠ぺいし又は仮装した不正行為」は新法第四三条の加算税賦課の原因乃至前提である「申告にかかる法人税額に誤があつたことについて正当な事由がないと認める場合」と共に旧法第四三条の追徴税の原因乃至前提である「政府の調査した課税標準と異なることについて已むを得ない事由があると認められる場合を除く外」とある場合に該当することは之等法条の対照上明かである。従つて旧法時代に「詐偽その他不正の行為があつた場合」においては当然法第四八条第一項の刑罰の外新法第四三条の二所定の重加算税に相当する法第四三条所定の追徴税を併科すべきは明瞭である。
然らば控訴人主張のように新法第四三条の二の新設を理由とし逋脱犯の場合に法第四八条第一項のみを適用し法第四三条の併課を避ける趣旨であることを根拠づけることはできない。
(二)控訴人は尚「法第四三条の追徴税は名目は租税となつているがその実質は納税義務違反行為に対する刑罰と解すべきであり、仮に之を過料だとしても国民に害悪を課する制裁である以上、追徴税を課するためには必らず制裁法規として之が明文を要すること制裁規定に類推解釈を許さず疑わしきは国民の利益に解釈すべきものであることから明かである。然るに法第四八条第三項にはその第一項の場合に何等追徴税を課すべき旨の明文を欠くが故に、この場合に制裁たる追徴税を課することは許されない」と主張し、法第四三条の追徴税は刑罰ではないが、なお行政上の秩序罰たる過料的制裁の性質あることは前説明のとおりであるが、法第四八条第三項の場合の課税標準の更正又は決定は法第二九条乃至第三一条のそれと同一のものであつて、追徴税に関する法第四三条はこの法第二九条乃至第三一条所定の課税標準の更正又は決定に基づき徴収すべき法第三三条の不足法人税額を基準として適用するため規定されていること前説明のとおりであるから、法第四三条は法第四八条第一項の場合即ち詐偽その他不正の行為により法人税を免れた場合に追徴税を課すべき制裁規定として厳存するものに外ならない。
控訴人主張のようにこの場合追徴税が明文上の制裁規定が欠缺するため之を制裁として課することが許されないものと断ずることはできない。
以上のとおりで被控訴人東税務署長のなした更正、決定、通知は勿論法第四三条による法人税の追徴も適法と認むべく同被控訴人に対し之を違法なりとしさきに同被控訴人が昭和二十四年七月三十一日附を以てなした控訴人に対する昭和二十三年度事業年度分法人税中法第四十三条による追徴税金更正決定の取消を求め且被控訴人国に対し控訴人の納付した追徴税金中刑事判決認定の脱税額に対応する追徴税納金三百三十万三千四百五十円の返還及び之に対する加算金の支払を求める控訴人の本訴請求はいずれも理由ないので、棄却すべく同旨に出でた原判決は相当で本件控訴は理由ないから棄却することとし控訴費用につき民事訴訟法第九十五条第八十九条を適用し主文のとおり判決する。
(裁判官 朝山二郎 西村初三 沢井種雄)